弁護士コラム

2016.08.22

12 就業規則が労働契約に及ぼす効力①(契約規律効)

労働者が就業規則の内容を知らないまま会社と労働契約を締結した場合、就業規則の内容は当該労働者を拘束するのでしょうか。

この点に関しては、従来は争いがありましたが、就業規則の内容が合理的であり、当該内容が労働者に周知されている場合には、就業規則が労働契約の内容を規律するという判例が積み重なり、ついに労働契約法7条においてその旨が立法化されました。

したがって、①当該就業規則の内容が合理的で、②就業規則が周知されている場合には、労働者が就業規則の内容を知らなくとも、就業規則の定めに拘束されることになります。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.22

11 周知義務(労基法106条)

使用者は、作成した就業規則を労働者に周知させる義務があります。

周知方法としては、事業所に備付けをしたり、労働者に書面を交付したり、コンピューター内にデータを備え付ける等、労働者がその内容を知りうる状況を作出することが必要となります。

この周知要件を欠く場合は、就業規則の効力は無効となります。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.22

10 就業規則作成上の意見聴取義務(労基法90条)

就業規則の作成又は変更の際には、使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合には、その労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聞かなければならないとされています(意見聴取義務)。

]この義務は、意見を聴けばよく、労働者の同意まで得る必要はありません。

そのため、労働者全員が反対したとしても、意見聴取義務は果たされており、就業規則の効力には影響しません。

なお、使用者は、就業規則の作成又は変更を労基署に届出する際には、意見聴取結果の書面を添付しなければならないとされています。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.22

9 就業規則作成・届出手続上の使用者の義務

使用者が就業規則の作成・届出義務を果たしたというためには、必要的記載事項を具備するだけでなく、作成手続において労働者の意見を聴取し(意見聴取義務)、作成した就業規則を事業所に備え付ける等してその内容を労働者に周知させなければなりません(周知義務)。

なお、必要的記載事項の具備と意見聴取義務は、これを欠いても就業規則が無効になるわけではなりませんが、周知要件を欠いた場合は無効になります。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.19

8 必要的記載事項を欠く就業規則の効力

必要的記載事項を全部または一部欠く就業規則の作成は、労基法89条の作成義務に違反し、30万円以下の罰金対象になります(労基法120条)。

もっとも、就業規則の効力に関しては、就業規則のその他の効力発生要件を具備する限り有効と解されています(昭和25年2月20日基収276号)。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.19

7 就業規則の相対的記載事項

相対的記載事項は以下の通りです。

①退職手当、賞与、臨時の手当て(決定、適用労働者の範囲、計算方法、支払時期等)

②労働者の食費、作業用品その他の負担に関する事項

③安全及び衛生に関する事項

④職業訓練に関する事項

⑤災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項

⑥表彰・制裁に関する事項

⑦事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合はその事項(ex福利厚生、旅費規程、休職、配転、出向等)

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.19

6 就業規則の絶対的記載事項

就業規則の絶対的記載事項は以下の通りです。

①始業及び就業の時刻、休憩時間(長さ、与え方)、休日(日数、与え方)、休暇、

②賃金の決定、計算方法、支払方法、支払時期、昇給に関する事項

③退職に関する事項(任意退職、定年、解雇の事由等)

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.19

5 就業規則の必要的記載事項

労基法は、就業規則に記載すべき事項を定めており、これを定めていない就業規則は、労基法89条の就業規則作成義務に違反することになります。

必要的記載事項には、いかなる場合にも必ず記載しなければならない絶対的記載事項と、一定の制度を導入する場合には定めておかなければならない相対的記載事項があります。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.19

4 就業規則の作成義務のある会社

労働基準法は、常時10人以上の労働者を使用する事業所に対して、就業規則の作成及び届出を義務付けています。

「常時10人以上」とは、一時的に10人未満となることがあっても、通常は10人以上を使用していれば該当すると解されています。

なお、繁忙期のみ10人以上使用する場合はこれには当たりません。

また、ここでいう労働者は、正社員、パート、契約社員などの雇用形態は問いません。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.18

3 非正規労働者保護立法

前回述べた通り、非正規労働者は正規労働者と比べて労働条件において格差があり不安定な地位にあります。

しかし、現代社会では、非正規労働者の割合は労働力の4割を占めると言われています。

その上、非正規労働者の中には、正規労働者と業務内容が変わらず、待遇だけが劣後するという場合も多く、社会問題化されてきました。

これを受け、近年、非正規労働者保護立法化が進み、パートタイム労働法や雇用保険法、労働契約法が改正されるに至りました。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

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