2016.08.24
22 採用内定の法的意味
会社は、労働者を新規で採用し、内定を出した後、実際の就労前に理由なく労働契約を解約した場合、違法となるのでしょうか。
この点につき、判例では、採用内定は、始期付解約権留保付労働契約の成立であると考えています。
すなわち、採用内定は、一般的に、企業が募集を行い、それに対し労働者が申し込みをし、それに対し企業が承諾する形で契約成立に至るところ、採用内定通知は、上記過程における企業の承諾にあたるため、その時点で労働契約が成立すると考えています。
よって、採用内定通知後に企業が理由なく労働契約を解約することは違法となります。
なお、採用内定は、採用内定時に契約は成立しますが、採用内定取消事由が生じた場合は解約ができる旨の合意が含まれている契約であると考えられています(始期付解約権留保付契約)。
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2016.08.24
21 パートタイム労働者に対する労働条件明示義務
パートタイム労働者については、パートタイム労働法において、労基法15条における労働条件明示義務に加えて、昇給、退職手当、賞与の有無についても文書の交付による明示義務を義務づけています。
ただし、明示の方法については、労働者が希望する場合にはFAXや電子メールによる送信でもよいとされています。
また、パートタイム労働法では、労基法及びパートタイム労働法が明示を義務付けた労働条件以外の労働条件についても、文書等による明示に努めるべきものとされています。
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2016.08.24
20 労働条件明示義務違反
労働条件明示義務違反は、罰金の対象とされています(労働基準法15条1項、同法120条1号)。
また、明示されていた労働条件と実際の労働条件が相違する場合は、労働者は、それを理由に労働契約を即時に解除することができます(同条2項)。
なお、就業のために住所を変更していた労働者がこの解除によって14日以内に帰郷する場合、使用者は必要な旅費を負担しなければなりません(同条3項)。
投稿者:
2016.08.24
19 労働条件明示義務②
労働基準法第15条の労働条件明示義務において、明示すべき事項として厚生労働省令で定められている事項は以下の通りです(労働基準法施行規則5条1項)。
①労働契約の期間に関する事項
①の2 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
①の3 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
②始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
③賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
④退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
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2016.08.23
18 労働条件明示義務①
使用者は、労働契約を締結する際、労働者に対し、賃金、労働時間その他の労働条件(厚生労働省令で定める事項)を明示すべき義務があります(労働基準法第15条)。
これを、労働条件明示義務といいます。
明示の方法は、明示すべき事項が明らかになる書面の交付により行うものとされています(労働基準法施行規則5条3項)。
投稿者:
2016.08.23
17 労働契約の成立(契約書の有無)
労働契約は、契約書等の書面がなくても(口頭でも)成立します。
しかし、使用者は、労働者に提示する労働条件や労働契約の内容について、労働者の理解を深めるように努める努力義務があり、契約内容についてはできる限り書面により確認すべきとされています(労働契約法4条)。
投稿者:
2016.08.23
16 労働条件の不利益変更②(就業規則による変更)
使用者が就業規則の作成または変更によって一方的に労働条件を不利益に変更することは原則として許されません(判例、労働契約法9条)。
但し、当該変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉状況その他の就業規則の変更にかかる事情に照らして合理的なものであり、変更後の労働条件が労働者に周知された場合は、当該不利益変更は有効となり、不利益変更に反対する労働者も変更後の就業規則の内容に拘束されます(労働契約法10条)。
投稿者:
2016.08.23
15 労働条件の不利益変更①(個別的合意)
労働条件を従来より不利益な内容に変更する場合、当該内容について労働者と個別的に合意が取れている場合には、労働契約法8条により有効です。
ただし、その場合も、就業規則の最低基準効(労働契約法12条)は働くため、就業規則を下回る合意は無効となります。
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2016.08.22
14 就業規則が労働契約に及ぼす効力③
前回、就業規則を下回る労働条件については無効であることについては述べました。
それでは、就業規則を上回る労働条件についてはどのように解すべきでしょうか。
労働法は、合意の原則(労契法1条、3条)を基本としていますので、就業規則を上回る個別的合意に関しては有効であり(労契法7条但書)、個別の合意が優先することになります。
投稿者:
2016.08.22
13 就業規則が労働契約に及ぼす効力②(最低基準効)
前回述べた通り、就業規則は労働契約の内容を規律する効力があります。
それでは、就業規則が労働契約の内容を下回る場合、当該労働者の労働条件はどのように解すべきでしょうか。
この点、就業規則と労働契約との関係については、労基法93条及び労働契約法12条に規定があり、同規定によると、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり、当該無効部分は就業規則の定める基準による旨規定しています。
よって、就業規則を下回る労働条件に関しては、就業規則が優先することになります。
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